情報源:ニッカンスポーツコム 【広島】新井貴浩監督、5打点末包昇大は「ノビノビした性格通りノビノビ振れている」/一問一答
<巨人3-8広島>◇20日◇東京ドーム
広島が2位巨人との首位攻防戦第1ラウンドに快勝した。昨季巨人戦で6本塁打のキラー末包昇大外野手(28)が3安打、自己最多タイの1試合5打点の活躍。先発森下暢仁投手(26)も5回3失点ながら10勝目をマーク。巨人戦は21年から8連勝とこちらもキラーぶりを発揮。大事な3連戦で、先手を取った。新井貴浩監督(47)の一問一答は以下の通り。
ペナントレースの日程ってどうやって決めるんかねぇ??このカードは2週間前も東京ドームだったし、昨日のゲームを含めるとこのカードは残り9試合。それでもこのカードの東京ドームの試合はこの3連戦が今季最後だそうな。2位巨人はマツダスタジアムが苦手だしな、考えすぎかもしれんけど、巨人サイドはここで首位を奪い返さないと苦しいという見えないプレッシャーもあったような気がした昨日のゲームだった。ゲーム序盤はどっちに流れが転ぶかわからん展開の中、新井監督も絶賛の小園の押し出しから一気にカープが流れに傾き、その流れを末包・坂倉が逃さなかった。見事に首位攻防戦第1ラウンドを勝ち切ったよな。
末包の2点タイムリーで先制
先制したのはカープ。初回から巨人先発・山崎伊を攻め立てた。先頭の秋山がチームを勇気づけるヒットで出塁。本当に秋山は1番に入って生き返った。特に第1打席にはこだわりがあるようで、その気持ちが乗った見事なヒットだったよな。続く野間が四球、小園がバント失敗で走者が入れ替わって1死1,2塁。ここで4番末包がレフト線へタイムリー2ベース。見事だったよな。追い込まれると山崎伊はフォークがある。当然外の低めから落とすか、スライダー系で曲げるか打者は迷うわけだけど、末包は「どっちでもいいよ」といった感じで空振りを取りに来たスライダーを見事にバットにひっかけてレフト線へ運んだ。形なんかどうでもいい。とにかく打つんだという姿勢が生んだヒットのように思うねぇ。4回にもこれもやはり3塁線ギリギリを抜ける走者一掃のツーベース。4番が大事なゲームで5打点すれば、そらいい勝ち方ができるよな。
新井監督の末包評は性格同様「ノビノビ」やっていると。非常に印象的なコメントだった。右バッターは外の変化球を引っかけると「いかんいかん」と考えてしまう打者もいる。まぁコーチから言われる場合もあるだろうし、あそこはたまたまヒットになったけど、打撃を崩す可能性があるからと「気にしてしまう」。結構これが打撃を崩す要因になるケースもあるんだよな。だから打者によっては1打席目、タイムリーになったけど次は泳がないようにと気をつけたりする。相手投手は逆に1打席目のタイムリーで「あそこは打たれる」と配球を変えてくる。外を見せてインコース勝負。これを末包は見事に2打席目、3打席目で弾き返している。2打席目は1,2球を外を見せて3球続けてインコース。普通だと外外内内とくれば、外に落とすことを打者は警戒するけど、末包はそんなのお構いなしでインコースのシュートをはじき返した。3打席目のタイムリーは直前の押し出しに気落ちした山崎伊の2球目の逆球、インコース高めの真っすぐをこれも3塁線に打ち返した。もう、山崎伊からすれば「どこ投げても打たれる」といった感じだったろう。当の末包は深く考えずに来た球を「自分のタイミング」で打っているだけだろう。形なんかどうでもいい。ボール球に手を出したってどうってことない。自分のタイミングが大事と新井監督の直接指導が非常に末包には効いているし、それが「ノビノビ」と見えるのだろう。緊張してもおかしくない首位攻防第1ラウンドでもウチの4番打者のノビノビ打っている。これからも厳しいゲームが続く中、末包の存在というのは非常に大きくなってくるんじゃないかねぇ??
森下5回99球と苦しむも10勝到達!
2点先制点をもらった先発の森下だけど、非常に苦しい投球内容だった。4回に味方が大量点をとっても最後までピリっとしなかった。中9日という間隔の影響もあっただろう。コントロールに苦しんでいたよな。
2回の岡本の一発で様子が変わってきたように見えた。さすがに首位攻防。味方打線も2回、3回とチャンスを作りながらも無得点、ここで森下が先に点を取られると流れが巨人に完全に行ってしまう。その怖さと背中合わせの中、なんとか粘って投げてくれたよな。5回99球3失点。森下らしくない内容だけど勝ちは勝ち。次の登板に備えて欲しいよな。
この日の森下のように打たれても勝ち投手になるケースもあれば、大瀬良のように防御率が0点台でも4勝の投手もいる。まぁこの辺は投打の歯車なんだろう。打線が打てない時に好投してチームを支えた末の勝利もあれば、この日のように打たれても打線が打ってくれての勝利もある。大瀬良が投げるときはなかなか援護がないし、最近は大瀬良が我慢できなくなって負けている。この辺は投打の歯車が上手くかみ合っていないから。これは大瀬良の責任ではないし、野手だって打って勝たせてあげたい気持ちでいっぱいだろう。先発投手の白星というのはそういうもの。場合によっては森下と大瀬良の立場が入れ替わっていてもおかしくない。そういう意味では今季の森下には「勝ち運」があるんだろうねぇ。内容に不満があるかもしれんけど2年ぶりの二桁勝利。胸を張ってほしいし、これからも白星を積み重ねて欲しいよな。
小園の決断がもぎ取った押し出し四球
本当にゲーム前半はどちらに流れが行くのか??非常に不安定な状態だった。カープは3回のチャンスをつぶし、森下も不安定となるとどうしても次の1点を取るのに慌ててしまう。それが4回の無死満塁から秋山、野間の連続三振の場面に表れていた。チャンスがしぼみ巨人に流れが行きそうな予感がカープファンの中に漂い始めたのは間違いないよな。
そして3番小園。秋山・野間を三振に斬ったフォークを初球、2球目と山崎伊はここが勝負と初球から勝負球を繰り出してきた。これに小園のバットが空を切った。初球から結果にこだわらず振ってくる小園の打撃が裏目に出た??そんな風に考えてしまったカープファン同志も多かったことだろう。ただ、この追い込まれたことで小園はある一つの「覚悟」を決めたように見えた。
「もう、絶対フォークには手を出さない」と。
3球目以降小園は山崎伊のフォークには手を出さず、首を振り「もう引っかからないよ」と言わんばかりのアピール。これも山崎伊にプレッシャーをかけた。3球目は高めの釣り球でボール、4球目5球目はフォークを完全に見切った。これでフルカウント。満塁だからな、四球は出せないプレッシャーが山崎伊に襲い掛かる。小園はこれを狙っていたといわんばかりに6球目の真っすぐを打ち返さずにあえて「カット」したようにも見えた。そして7球目。握りはフォークに見えたけど、やはり満塁フルカウント。腕がしっかり振れなかった。山崎伊の手から球が離れた瞬間にそれはストライクゾーンから外れていた。押し出しだ。カープが欲しい欲しい追加点がこういった形で入った。これは山崎伊が乱れたというよりは小園が山崎伊を乱してもぎ取った押し出しと言っていいだろう。これで堰を切ったように点が入りだした。一挙5点のビッグイニング。新井監督も評価していたけど本当に価値のある、チームにとっても、そして巨人にとってもデカい押し出しだったよな。
8回にはダメを押すタイムリーも打った。ショートのポジションは矢野に奪われた感があるけど、腐らず、ならば打撃と切り替えて頑張ってくれている。これからも小園の活躍に注目だよな。
初戦を取ってプレッシャーが勢いに変わる
この首位攻防戦はどの解説者もスポーツ紙の記者も「初戦が大事」という見立てだったろう。それはカープベンチも巨人ベンチも同じだったろうし、両軍ファンもこれを取った方に流れが行く。この3連戦だけではなく、今後のセリーグの流れにも大きな影響を与える一戦だったと思う。これをカープが制した。見事だよな。
今月に入るまでなかなか点が取れなかったシーズンだけど、ようやく打線も活発になってきた。その勢いで巨人を飲み込んだ痛快な内容だった。ゲームの中で「ここぞ」という場面で得点できるようになって自信も深まってきているように見える。そんなカープの「成長」が感じられた一戦だったよな。新井監督も「はっはっはぁ」と笑っていたけど本当に大きな1勝だよな。
これを取ったことで巨人が苦しくなってくるのは間違いない。今日行われる2戦目のプレッシャーも相当なものだろう。上にいるカープはこの3連戦1勝2敗でOK。その1勝を初戦で取れたわけだから、平常心で戦えるのは大きいよな。今日は床田とグリフィンの両左腕だけど、もしカープが2戦もとるような結果になると完全に勢いづいて一気に抜ける可能性も出てくる。巨人も必死で勝ちを取りに来るだろうし、面白い一戦になりそうだ。両軍とも力の限り頑張っていいゲームが見たいよな。
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