情報源:ニッカンスポーツコム 【広島】阪神に競り勝ち、8日以来の首位奪取 床田寛樹はリーグトップ9勝目
<阪神0-1広島>◇19日◇甲子園広島が阪神との接戦に勝ち、今月8日以来の首位に立った。
4回2死まで阪神村上に完璧に抑えられたが、5回にプロ2年目で初の中軸5番に抜てきされた中村貴の安打をきっかけに無死満塁の絶好機。シャイナーの遊ゴロの間に、三塁から中村貴が先制のホームを踏んだ。
昨季、この甲子園で床田が打たれて阪神の背中がどんどん遠くなっていったのを鮮烈に覚えている。床田でも阪神の勢いを止められなかった。床田自身も昨季の夏以降、もっと阪神に勝てていればと悔しい気持ちになったはず。新井監督は今季、その床田を積極的に阪神戦で投げさせている。すでに5試合の登板で相手はいつも昨季のセリーグMVP・村上頌。相手にとって不足なしと言わんばかりにこの日の投手戦を制した。素晴らしい投球だったよな。これで今季阪神に3勝目だ。
連打癖が顔を出し始めたが…!?
床田という投手は常に2ケタ勝てる素質というか力は持っているとアタクシは思う。それでも昨季ようやく2ケタ勝利を達成。14,5勝してもおかしくないんだけど、大体夏場に勝ち星が伸びなくなる傾向があった。おそらく床田もそこが課題というのはわかっているだろう。昨季も8月以降なかなか勝てなかった。連打を浴びると止まらなくなり、あっというまに点差が広がるパターンが多かったよな。特に優勝した阪神に対してなかなか勝てずに勝ち星が伸びなかったのを覚えているカープファン同志は多いだろう。
カープは7月に入ってから苦しい戦いを強いられた。床田にもいつもの「連打癖」が顔を出し始めてきたのも影響していると思う。一時は首位を明け渡す形になったのもやはり床田が投げる日は勝つというのができなくなったからだろう。このまま行ったら昨季の二の舞になる。その危機感が前回登板のヤクルト戦、そしてこの日の床田の投球から伝わってきた。
初回に連打でピンチを作った。非常にイヤな流れがいきなり来たよな。まだ初回だけど床田はここから阪神中軸に対して攻めの投球を貫いた。昨季かなりやられた森下を右飛に仕留めるとサトテルを遊びなしの3球三振、大山にはボール3になりながらもインコースの真っすぐ2球続けて追い込み、最後はファールフライに仕留めた。この辺、初回から連打で失点となっていたらまるっきり違うゲーム展開になっていただろう。カープ得意のロースコアの接戦に持ち込めたのはこの初回の床田の踏ん張りが大きかったと思うねぇ。
床田も連打を浴びるようになってからよかった時の自分の投球フォームを見直したそうな。どうやら上半身と下半身のバランスが狂い、球に力が十分伝わっていないと分析。この辺を修正してきた。まぁその成果が出たのが7回のピンチ脱出劇だろう。
7回のピンチに151キロ!!
このイニングを振り返ってみよう。先頭のサトテルが左前ヒット。イニングからしても先頭を出したのは痛かったよな。甲子園の声援の後押しもあるから、非常にイヤな流れができたのは確かだろう。
大山が右前にポトリと落ちるヒット。この打球も打ち取っているだけにイヤなムードに拍車をかけたよな。
極めつけは野口のセンター前の飛球が秋山の前にポトリと落ちた。打球の角度からすれば照明に入ったとは考えづらく、秋山が打球を見失ってしまったというのが正直なところだろう。2塁のフォースプレーのリクエストも実らず無死満塁となった。絶体絶命のピンチだよな。
しかしここから床田がギアを上げる。すでにここまで96球。ギアを上げるにしてもこれまでの疲労、暑さを考えれば力みからコントロールを乱したり、逆球が行く可能性もある。ギアを上げきれない投手がほとんどだろう。しかし、床田はトップにギアを上げた。
この場面で打席は坂本。チャンスに強い打者だよな。まずやりたいことは三振かホームゲッツーだ。外野フライもダメだ。床田は低めにパームやカットなどを駆使して坂本を追い込む。最後はやや高めに来たツーシームでタイミングが崩れてショートゴロ。注文通りのホームゲッツーで2死2,3塁とした。しかし2死ながらも一打逆転の場面は消えていない。消えていないけど無死満塁から2死2,3塁となり阪神サイドの方にプレッシャーがかかってくる。続く打者は木浪。カープ先制はこの木浪の守備の乱れを突いたもの。木浪としてはなんとか汚名挽回と力も入っていただろう。ここで床田はさらにギアを上げる。初球から真っすぐを続けた。初球が150キロ、4球目は151キロを計測。甲子園もどよめいた。最後はパームだろうか??いい具合に抜けた変化球でタイミングを外し、平凡なセンターフライ。見事に無死満塁のピンチをしっかりギアを上げて抑え込んだ。見事な投球だったよな。
これまでの床田はこれをやりたくてもできなくなっていた。一時は連打癖にハマり、下降線を辿りそうだったけど、このゲームで昨季の二の舞にはならないという思いがこもった投球だったように思う。しっかりギアを上げる投球ができた。この投球ができれば15勝くらい行けるんじゃないかねぇ??今後の投球も楽しみだよな。
結局は「守り勝ち」
無死満塁というのは点が入りづらい。これは昔から言われている。結局このゲームは両チームに訪れた無死満塁のチャンスに点が取れたチームが勝った。カープはこの1点を床田の好投とハーン、栗林の完封リレーで守り切った。まさに今季の新井カープの勝ち方だよな。
ただ、守るのは何も投手だけじゃない。このゲームに限って言えばカープと阪神の内野守備の差が出たように思う。カープが得点したのは5回。中村貴、坂倉の連打。菊池の送りバントの時に捕手坂本がファンブルでオールセーフ。これで無死満塁のチャンスになった。続くシャイナーの打球はショートゴロ。木浪が送球に手間取っている間に1塁がセーフ。3塁走者がホームインした。ただ、木浪の守備位置を見る限りは1点は仕方なく、ホームは諦めてこのイニングを1失点でまとめようという守備陣形だったから、それほど阪神サイドもダメージはない「1点」だったろう。ただ2点目は絶対にやってはいけないという中で1死1,3塁の場面を作ってしまったのは阪神サイドの誤算だったろう。カープとしては「2点目」の期待がかかる場面だった。
床田の打球は強烈な1ゴロ。しかしファーストの大山の真正面だった。長打を防ぐためにラインよりに守っていたのもよかった。大山はゴロをさばくとベースを踏んで2アウト。ホームに突っ込んできた坂倉が三本間で挟まれてタッチアウト。まぁ1,3塁の場面でゴロなら3塁走者がスタートを切るのがセオリー。床田の打球はあまりにも阪神にとってラッキーなところに転がってしまった。誰も責められないだろう。それでもカープの先制点は阪神の守備の乱れを突いたといっていい得点だったよな。
逆にカープはこの1点を見事に守り切った。これは投手だけではなく守備でもいいプレーが随所に出たよな。2回には小園のジャンピングスロー、そのあと飛び出した木浪の遊ゴロゲッツーでは菊池、矢野の守備が光った。矢野は難しいゴロをさばいた後、ノーステップで1塁送球。肩の強さを見せつけた。
9回には抜ければ長打となる打球を上本がダイビングキャッチ。阪神サイドにスキを見せなかった。見事だったよな。
終わってみれば1-0で逃げ切った。これが新井カープの野球だよな。気がつきゃ再び首位に返り咲いている。カープ戦はなかなか点が取れない。各球団前半戦を戦ってかなり染みついてきている感じだよな。
さて前半戦も残り2試合。今貯金が「6」だ。できれば5以上で折り返したいからな、この阪神とのカードは勝ち越して終わりたいよな。新井監督も当然そういった目論見で2戦目に大瀬良、3戦目に九里を立てる。今日の大瀬良で勝つと阪神も「まずい」となるだろう。一気に3タテの夢も広がる。
昨季ほとんど勝てなかった甲子園でカープは目下5連勝中だ。阪神対策も今季はしっかりやっているようだしな、ひょっとしたらひょっとするかもしれん。もし、阪神がカープに3つやられると「脱落」のムードも出てくる。これは逆にカープにも言えたことなのでこの初戦を取れたというのは本当に大きいよな。
今日は大瀬良と及川。阪神は継投で来るのだろう。カープサイドはスタメンが難しいけど、今日のゲームでぜひともカード勝ち越しを決めたいよな。
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