情報源:デイリースポーツオンライン 接戦を制して3連勝の広島・新井監督「僅差の試合を勝ち切っていくとチームとしても力が付いてくる」
広島が延長戦を制して3連勝。1961年の球団記録に並ぶ甲子園6連勝を飾り、首位をキープした。延長十一回は四球と犠打に相手失策が絡み、無死満塁から小園の中犠飛で決勝点を奪った。先発・大瀬良は勝敗こそ付かなかったが、7回無失点の好投。防御率は0・82まで良化させ、自身の前半戦最終登板を終えた。チームは2年ぶりに3戦連続完封勝ち。試合後の新井貴浩監督(47)の一問一答は以下の通り。
野球ほど「点の取り方」にバリエーションがあるスポーツはないだろう。ホームランは派手だから見ていて楽しいし盛り上がる。ヒットを重ねて点を取ることもできる。走者が3塁にいれば、スクイズ、犠牲フライでも点が取れる。バッテリーエラーなど攻撃側が何もしなくても点が入るケースもある。2塁に走者がいればワンヒットで走力のある選手が一気にホームを陥れることもできるし、こういった場面でのクロスプレーは野球の醍醐味だよな。
長い長いペナントレース。じゃ、点をたくさん取る方が強いのか??と、言われればそうでもないのが野球の面白いところ。結局はその試合試合で相手よりも1点多く取っていれば勝てるわけで、点を取られないというのも「強さ」と言えるよな。点を取られないためには投手力はもちろん、強固な守備も必要だし、何よりも大事なのはピンチを迎えても浮足立つことなくしっかりとプレーができるメンタルと難しい打球の判断や粘り強い守備といった「球際の強さ」も非常に大事になる。ただ、この「球際の強さ」というのは一朝一夕で培われるものではない。接戦を何度も経験し、そして勝ち切る経験を積まないとこうしうた強さは生まれない。新井監督就任以来、カープはこうしたゲームをたくさん経験してきているし、昨季は2位とAクラス入りした。今季も下馬評は決して高くない中、首位をキープ。7月入って狂い始めた歯車もかみ合い始めたかに見えたけど、やはり「自分たちの形」にはまると強さを発揮する。この甲子園での連勝もまさに「守り勝ち」。見事だよな。
大瀬良が再び無失点伝説を作り始めた!?
自分たちの戦い方に持ち込むにはまずは先発投手が相手打線をしっかり抑えて、先に点を取らせない。ハマスタでの森下、甲子園でも床田がその役割をしっかりこなした。そしてこのゲームでは大瀬良が阪神打線を粘りながら無失点に抑えた。素晴らしいよな。4回までは阪神打線を完全に抑え込み、5回は連打を食らうも梅野をゲッツーに仕留め、6回は失策からのピンチも冷静に阪神の下位打線を抑えた。7回無失点。見事だよな。
当然カープファン同志からも「白星をつけさせてあげたい」という声も聞こえてくるだろう。防御率0点台を継続していても勝ち星は4勝どまりだからな、並みの投手ならイライラもしてくるだろう。
しかし大瀬良もそうだけど、カープの先発投手は自身の勝ちよりもチームの勝利に貢献することの重要性をよくわかってきているような気がしている。自分が投げているときには絶対に点をやらない。それがチームの勝ちにつながることを信じて投げてくれているように思う。チームで戦う上では本当に大事だよな。ぜひとも鈴木本部長におかれましてはしっかりと査定していただいて、オフには先発陣にしっかりお給料をはずんで欲しいもんだよな(笑)。
その大瀬良。7月6日の中日戦で失点して連続無失点が37と1/3で途切れたわけだけど、その後再び無失点街道を走りは始めたよな。この日も7回無失点で16イニング無失点。今回は何処まで伸ばせるか??楽しみだよな。
打てない両チーム…だけどベンチムードは…!?
阪神の先発は及川。正直、この先発投手ならカープも多少は点が取れるかな??と思った手たけど甘かったねぇ(笑)。及川の好投は阪神ベンチもうれしい誤算だったろう。前日と同じように両チームともスコアボードには次々と「0」が刻まれた。
阪神打線は中盤以降チャンスを作るも送りバントができなかったり、ゲッツーだったりとため息が続く攻撃だったけど、カープはチャンスが潰れてもある意味「淡々と」次のイニングに気持ちを切り替えていたように思う。まぁ「慣れ」というと語弊があるけど、カープの選手もベンチも「点が取れない」のは「いつものこと」と妙に割り切れているというか、しっかり「切り替え」ができているように見えた。逆に阪神ベンチは時折映し出される岡田監督の表情がイニングを追うごとに険しくなってくる。横にいる安藤投手コーチの表情もそれに伴ってこわばっているようにも見えた。「頼む、早く点を取ってくれぃ!」と。なんとなくだけど点が入らないことで阪神はどんどん追い込まれているような印象を受けたねぇ。
新井監督は打てないことに対して悲観的なコメントはしない。これがウチだからと。心の中では「打ってくれ」というのはあるんだろうけど、こうして打てなくても首位にいるし、投手が守って1点をもぎ取って勝つという野球に自信すら持ち始めているように思う。こうなると凡打を重ねてもイライラしなくなるだろう。カープベンチからは「イライラ」や「ジリジリ」したムードが全くない。こういったムードが大事な場面で明暗を分ける要因にもなっているのかもしれんねぇ。
球際のプレーに明暗が??
「その時」は延長11回に訪れた。11回表阪神はマウンドに富田を送り込んだ。まぁこの辺は経験から言えば加治屋なんだろうけど打順は1番の秋山からで1~4番まで左が続くということでの選択なのだろう。その富田が先頭の秋山に四球を与える。この四球はこのゲームとしては「先頭打者」に与えたものは初めて。阪神は及川は2死からの四球が一つ。カープは森浦が1死から前川に四球を与えるも直後の梅野を併殺に取っている。このゲームで始めて「点につながりそうな四球」が出た。チャンスだよな。
カープベンチはここで代走の大盛を起用。この起用も後々よかったと感じた起用だった。続く矢野が送りバント。投手の富田が捕球。送球は大事に行き過ぎたのか緩めの送球がベースカバーの中野が目いっぱい背伸びをする高さにいってしまった。中野がボールを落としている間に代走大盛が果敢に3塁を陥れる。中野が無理な体制から送球するもサード・サトテルがショートバウンドを捕球できず後逸。これを見て大盛が本塁を狙うもレフトの植田がカバーに入っていた。大盛は踵を返して帰塁。間一髪セーフとなった。この場面には阪神がかなりプレッシャーを受けながら戦っているのが凝縮されているように見えたねぇ。
まずは富田。矢野の足を警戒したのかもしれんけど、慌てていたよな。それとオーバースローから緩い球を投げるのがあまり得意ではなないのかもしれん。まぁそういう投手は結構いる。だからあぁいう場面は1塁に走り寄ってトスする投手も多い。この辺は若さ的なものが出たような気がするねぇ。それとサトテル。中野からの送球を後逸してしまった。中野も苦し紛れに投げているわけでコントロールがつくはずがないし、タイミング的もセーフ。ならばしっかり体で止めなきゃいかん。それと後逸した後の植田の送球の捕球の仕方も体の近くで捕球していた。この分タッチが遅れた。よく見ると後逸した後塁審と交錯しそうになって、やっと捕球した感じだったけど、もう少し腕を伸ばして前で捕球できていたらアウトにできたかもしれん。
こうした一連にプレーにね、「球際」の強さ、弱さを感じるんだよねぇ。まぁ他球団の事なので細かくは書かんけど、しっかり送球をできていれば、しっかり捕球できていれば、展開が変わっていたかもしれんというプレーね、ここが出た感じだよな。
逆にカープは代走が大盛でよかったなぁと。場面場面での状況判断や体幹の強さや敏捷性ね、もしあの場面の代走が誰かだったら帰塁せずにホームに突っ込んでいたかもしれん(笑)。小園の犠牲フライでのホームインも判断といい、スタート、スライディングも見事だった。いい仕事をしてくれたよな。
ノーヒットで勝ち越す野球はまさに「広島野球」
守備でまずいプレーが出た阪神は3番の野間を申告敬遠して満塁策。4番小園が犠牲フライで勝ち越した。この勢いで2点3点といければいうことないんだけど、上本がゲッツーで攻撃終了。1点どまりだった。まぁカープらしいといえばカープらしいけどな(笑)。
それにしても行き詰る投手戦の中、虎の子の1点をノーヒットでもぎ取る野球ね、これは昭和の黄金期に見せてくれたまさに「広島野球」だろう。興奮したオールドファンは多かったんじゃないかねぇ??
カープがBクラスに低迷してた頃ってのはできもしないのにこの野球をやろうと必死にもがいていた時期でもあった。アタクシもブログを書き始めて結構な時間がたっているけど、できもしないことをやろうとして負けているカープに向かって広島野球なんて辞めてしまえ!!という記事を書いたこともある。バントで送って犠牲フライで1点取っても投手力がないから、その直後に3倍4倍の点を取られるわけで(笑)、何をやってるんだと怒るのも無理はないよな。
広島野球のバックボーンは何といっても「投手力」。これがあるから失点の心配することなく、じっくり1点を取りに行ける。相手のミスやスキをついて最後は勝ち切る。これが広島野球なんだろうと。
新井監督が就任してからは別に緻密な野球をやろうとか、機動力を前面に押し出した野球をやろうといったムードはない。それでも今季は特に先発陣が安定しているし、勝ちパも構築できている。ただ、いかんせん「打てない」(笑)。打てないながらも新井監督のキャラもあると思うけど、下を向かずに選手を鼓舞し前を向かせて何とか点をもぎ取って勝ち切る。こういう野球で今首位にいるわけで、この戦い方、この貧打でも勝てるという「自信」がカープベンチや選手たちに芽生え、育ってきた。こうした流れの中で気がついたら「広島野球」ができるようになった。無意識に一生懸命やってきたために生まれた副産物なのだろう。決して狙って作り上げたわけではないところがミソ。昨日の戦い方なんか見ても点が取れなくても選手に余裕すら感じる。これはしびれるゲームを勝ってきた「経験」がそうさせているのだろう。派手さはないけど、カープがどんどん強くなってきている。そんな印象を強く残したゲームだったよな。
さて、オールスターの折り返しまで残り1試合だ。元気のない相手にはしっかり勝っておくことは大事。阪神も貯金がなくなって何としてでも勝たなきゃいかんゲーム。オールスターブレイクがあるから総力戦で来るだろう。カープの先発は九里。ちょっと間が空いているのが心配だけど、森下、床田、大瀬良に続いて前半はしっかり抑えてカープペースに持ち込めば、3タテもあり得る。頑張ってほしいよな。
コメント